特定非営利法人東京都港区中小企業経営支援協会NPOみなと経営支援


●2013年7月「マタニティ・ハラスメント」と言われないために

●2013年7月「マタニティ・ハラスメント」と言われないために

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2013年7月 「マタニティ・ハラスメント」と言われないために
中小企業診断士:高橋美紀

メールはeighter.mk@gmail.comまで願います。


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「妊娠しました。出産予定日は○月○日です。」
社員や部下がこのように申し出てきたら、どのように対応しますか?

◆マタニティ・ハラスメントとは

男女雇用機会均等法や労働基準法の改正などにより、女性の社会進出は進んでいますが、それでも女性の就労を阻む壁は「妊娠・出産」。未だ第1子出産を機に約6割の女性が退職しています。
少子化の折、保育所の整備や育児休業期間の延長といった「出産後の環境整備」については議論が活発なものの、その前段である「妊娠中の女性の保護」については、これまであまり注目されてきませんでした。

しかし、実際は「妊娠を理由に解雇された、望まない異動を強いられた」あるいは「妊娠をきかっけに働く環境を悪くされたり、心無い言葉をかけられた」というケースが今、問題視されています。このような妊娠・出産を理由として女性が職場で受けるハラスメント(嫌がらせ)を「マタニティ・ハラスメント」と呼びます。2013年5月に行われた連合の意識調査によると、マタニティ・ハラスメントを受けた経験のある女性は25.6%、「周囲でマタニティ・ハラスメントの被害にあった人がいる」と答えた人も23.2%にのぼります。

◆マタニティ・ハラスメント防止のために知っておきたいこと

マタニティ・ハラスメントのなかには、明確に法律で禁じられているものもあります。
たとえば妊娠を理由とする解雇や契約打ち切り、降格、減給などは「妊娠・出産等を理由とする不利益取扱い」として、男女雇用機会均等法で禁止されています。労働基準法では産前産後休業の他に、請求があった場合は妊婦を他の軽易な業務に転換させなければならなかったり、妊産婦に時間外労働、休日労働、又は深夜業をさせることはできないと規定しています。管理者は、まずこのような規定の存在について知っておく必要があるでしょう。

一方、はっきりした違法行為があるわけではないものの、妊婦さんが傷ついてしまう「何気ない一言」もあります。「これまで妊娠した人は、皆辞めているよ」「生まれてくるお子さんのためにも家にいた方がいいのではないか」「この忙しい時期に妊娠なんて…自覚を持ってほしいよ」「妊娠は病気じゃない、甘えは許さない」等々。

管理者からすると「余裕のないとき、つい一言言いたくなってしまう」こともあるでしょう。あるいは本人を心配するあまり口をついて出てしまう言葉もあるでしょう。ただ、この言葉を仕事への活力にできる妊婦さんがどれだけいるでしょうか。多くは、やる気をなくすか、頑張りすぎて体調を崩すか、いずれかでしょう。これは非常にもったいないことです。

◆「誰かが抜けても回る」職場に

それでも、「通常業務に支障が出るくらいなら仕事を辞めてもらうしかない」と考える方もいらっしゃるでしょう。
しかし、ここで退職させてしまったら、代替社員の教育費や採用費が余計にかかります。何とか雇用継続の方向で考えて、それまでに蓄積されたその社員の経験や知識を生かしてもらった方が、長い目で見ればお得と思われます。

また、これを機会に、仕事全体の仕組みや働き方を見直すことも検討しましょう。都合よく代替社員を雇えれば余裕も生まれますが、そうはいかないケースも多いはず。それならば腹を括って、制約の中で仕事を回すしかありません。ピンチはチャンスと捉え、本当に無駄な仕事をしていないか、効率的に時間を使えているか、振り返ってみましょう。もしくはスケジュールや配置の調整で乗り切れないか、知恵を絞りましょう。

そもそも、妊娠・出産のみではなく、社員の病気や事故、介護による休業は十分あり得ます。これらは妊娠・出産以上に誰にでも突然起こりえて、先行き不透明なものです。そのときに「迷惑だ」と切り捨ててあっさり退職させていたら、職場の雰囲気はどうなるでしょうか。

お互いにフォローし合える職場づくりが、安心感の醸成や帰属意識の向上、リスク管理の強化につながるのです。それによって、優秀な人材も集まりやすくなります。

さて、冒頭の申し出に対する初めの返答は、「おめでとう」が適切でしょう。
そのうえで、本人が何を職場に望むか、職場として何ができるかできないか、一緒になって考えられるといいですね。

中小企業診断士 高橋美紀

メールはeighter.mk@gmail.comまで願います。


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