特定非営利法人東京都港区中小企業経営支援協会NPOみなと経営支援


●2013年6月「高年齢者活用の人材戦略」

●2013年6月「高年齢者活用の人材戦略」

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2013年 6月 「高年齢者活用の人材戦略」

中小企業診断士 中井 明

メールはat-kirakira7249@pa2.so-net.ne.jpまで願います。

 
■―――――――――――――――――――――――― NPOみなと経営支援協会−■

急速な高齢化の進行に対応し、高年齢者が少なくとも年金受給開始年齢までは意欲と能力に応じて働き続けられる環境の整備を目的として、「高年齢者等の雇用の安定等に関する法律」(高年齢者雇用安定法)の一部が改正され、平成25年4月1日から施行されました。
改正された社会的背景と今後の企業経営に高年齢者を活用する人材戦略について述べます。

1.人口の将来予測

人口推計によれば、少子高齢化の進行により、生産年齢人口(15歳〜64歳)は減少の一途をたどり、2010年の8,174万人(総人口の63.8%)と比べ、2030年に6,773万人(1,401万人減少)、2060年に4,418万人(3,756万人減少)となり、若年者を採用することは困難になると予想されます。

2.厚生年金の受給開始年齢引上げ

昭和28年(女性は昭和33年)4月2日以後に生まれた方は、60歳から65歳になるまでの間、生年月日に応じて、特別支給の老齢厚生年金(報酬比例部分)の受給開始年齢が、平成25年度から平成37年度にかけて61歳から段階的に65歳へ引上げられました。女性の引上げは、いずれも5年遅れです。

特別支給の老齢厚生年金の対象者は、下表のとおりです。

3.継続雇用義務

一般的な60歳定年のままで、引き続きの雇用を希望しても、雇用が継続されなかった場合は無収入となり、厚生年金の受給まで空白が生じる可能性があります。

企業は、改正高年齢者雇用安定法に基づき、今年4月以降、60歳定年を迎える社員が希望すれば、就業規則の解雇事由及び退職事由に該当しない限り、全員を再雇用することが義務づけられました。

ただし、改正法が施行されるまで(平成25年3月31日)に労使協定により継続雇用制度の対象者を限定する基準を定めていた企業に限り、厚生年金(報酬比例部分)の受給開始年齢に到達した以降の従業員を対象に、基準を引き続き利用できる12年間の経過措置が設けられています。

4.高年齢者の就業意欲

内閣府が2008年度に行った60歳以上の男女を対象とした調査によると、65歳以上(「働けるうちはいつまでも働く」を含む)まで働きたいと回答した人は70%を超えており、さらに、独立行政法人高齢・障害・求職者雇用支援機構の2011年の団塊世代に対する意識調査でも、約80%の人が65歳以上の就業を希望しており、高齢者の就業意欲は極めて高い状態にあります。

5.高年齢者雇用に関する助成金

高年齢者を雇用することによって、企業が受けられる各種の奨励金や助成金があります。概略を紹介しますので、活用する参考にしてください。
(1)特定求職者雇用開発助成金(2種類の制度紹介)

@特定就職困難者雇用開発助成金
新たに高年齢者(60歳以上65歳未満)等の就職困難者をハローワーク等の紹介により、継続して雇用する労働者(雇用保険の一般被保険者)として雇い入れる事業主に対する助成金です。

A高年齢者雇用開発特別奨励金
65歳以上の離職者を、ハローワーク等の紹介により、1週間の所定労働時間が20時間以上で、1年以上継続して雇用することが確実な労働者として雇い入れる事業主に対する助成金です。

【支給金額等】
@及びAの支給金額は、いずれも50万円(中小企業は90万円)。短時間労働者は30万円(中小企業は60万円)で、助成対象期間は1年間です。
※ 短時間労働者:1週間の所定労働時間が、20時間以上30時間未満の者

(2)高年齢者雇用安定助成金(2種類の制度)

@高年齢者活用促進コース
高年齢者を積極的に活用し、新たな事業分野への進出等による高年齢者の雇用の場の拡大や機械設備等の環境整備を行う事業主に対し、必要とする経費を補助する制度です。

【支給金額】
上限500万円。
雇用環境整備の措置に要した経費の2分の1(中小企業は3分の2) と、1年以上在籍している60歳以上の雇用保険被保険者数×20万円を比較して、少ない方の額が支給額となります。

A高年齢者労働移動支援コース
定年を控えた高年齢者で、その知識経験を活かすことができる他の企業での雇用を希望する者を、定年前1年の間に、民間の職業紹介事業者の紹介により、雇い入れた事業主に対して助成する制度です。

【支給金額】
雇い入れ1人につき70万円(短時間労働者は1人につき40万円)です。

6.高年齢者の活用

今後、少子化による生産年齢人口の減少による労働力不足に対応していくための企業経営には、高年齢者の高い就業意欲と、長年にわたって培ってきた知識・技能・技術・ノウハウ・人脈などを有効に活用し、安定した人材を確保していく人材戦略が求められます。

経営者のみな様、高年齢者は、雇い方、勤務の仕方、賃金の決め方など、多様な働き方が可能です。自社に適した高年齢者のメリットを活かした人材戦略を策定してください。

中小企業診断士/高年齢者雇用アドバイザー 中井 明

メールはat-kirakira7249@pa2.so-net.ne.jpまで願います。

 
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