特定非営利法人東京都港区中小企業経営支援協会NPOみなと経営支援


●2013年6月「時間外労働問題への一考」

●2013年6月「時間外労働問題への一考」

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2013年 6月 「時間外労働問題への一考」
中小企業診断士:藤川 利雄

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労働時間は労働基準法で変形労働時間制を除き、1日8時間、1週40時間とされ、罰則をもってこれ以上の時間、社員を働かせてはならないと定められています。

ただし、労使の協定(36条)があれば、労働基準監督署に届けた協定の範囲で、1日8時間、1週間40時間を越える時間に社員を働かせることができます。

その場合は、通常の時間当たりの賃金に割り増し賃金を加えた金額を支払う必要があり、その支払いがされない場合は未払いの賃金債務が発生します。

もちろん、経営者の皆様はすべてご存知の内容です。
フレックスタイムや1年以内単位等の変形労働時間制なども活用されていますが、それでも時間外労働が増えていくのが現状ではないでしょうか。

また「時間外労働は必要だが、割り増し賃金を支払ったら、経営が成り立たない」というような声も、お聞きすることがあります。たしかに価格競争が激しい中では、コストの大きな要素である人件費を抑えることが重要です。

しかし、時間外労働に対する未払賃金債務は、法律に基づいた債務ですから、行政の指導だけでなく、社員の権利意識増大により、時効のかかる2年間分、1人当たり数百万円に達する金額を請求される可能性があります。

労働紛争あっせん機関や労働審判等のADR(裁判外紛争解決)の利用が容易になり、一般への周知も進むとともに、法的に貸金業者への過払い請求を支援していた向きが、未払い賃金債務の請求に乗り出そうとしているような話も聞きます。

いずれにしろ、時間外労働は未払い賃金債務に加え、過重労働による社員の健康被害の問題にもつながる大きなリスクを孕んだ問題で、真剣な対応が必要です。

それには、社員の仕事内容と方法の定期的な見直しと大胆な削減が有効です。

そんなことかと思われるかもしれませんが、一般に、いったん仕事内容と方法を決めて実施して一定の成果をあげれば、その後大幅に見直すことは、まずないのが実情ではないでしょうか。

問題がおこって修正する場合も、必要最小限度の一部修正するにとどめるケースが多いと思います。

そこで、時間外労働の削減の検討を契機に、社員の仕事内容と方法を見直し、大胆に削減することで、コスト削減に加えて有効性と効率を高めて、成果増大を狙う活動を実施することを提案いたします。

具体的には次のような手順をとります。

■準備段階   (現状把握と目標設定)

時間外労働の現状を支払済みの割り増し賃金の支払済み時間(@)と未払いになっている可能性のある時間(A)を、把握します。

割増賃金支払済みの時間は把握済みです。その時間とPCやタイムカードの打刻による時間外(まずは時間外労働時間と仮定します)時間との差を未払いの可能性がある時間として把握します。

その上で、時間外労働時間(@+A)を社員全員分社員個別に把握し、その削減目標を定め、経営者の決意を固めます。

■第一ステップ  (社員の仕事内容と方法の書き出し)

個々の社員に自分の仕事を書き出す作業で一番時間が掛かる作業でが、ここが肝です。
手間は掛かりますが、ここをキチント乗り越えるかでその後の成果が決まります。

2〜3月間、社員全員に仕事実績を簡単な表に書き出して貰います。
5〜10分程度で終わる作業ですが、毎日必ず実施して貰います。
仕事の内容(名称付き)と目的、作業方法、作業時間、それに重要度、難易度等(業種、業態により異なります)を表に書き出します。

■第二ステップ  (不要な仕事のあぶり出し削除する)

書き出し期間が終わったところで、作業毎にその頻度も分かるように作業時間を集計します。

集計結果を見つめるだけで、次に何をすべきかが分かります。

作業時間の長いもの、作業頻度の高いものを中心に、まず今現在は不要になっている仕事を探し出し、直ちに削除します。

作業のIT化や組織の変化、取り扱い商品の変化、顧客の変化などで様々な理由で、今はなくても良い作業が意外に多くあるものです。そのためには、個々の作業目的の確認と関係者の意見も参考にしていきます。

■第三ステップ  (仕事の優先順位を従い下位の仕事を大胆に削除する)

しかし、不要と思える作業の削減量は、多くの場合期待ほど多くはありません。

そこで第三ステップとして、不要ではなく必要と判断された仕事に、成果等を基準に優先順位をつけていきます。そして優先順位の低い仕事から、準備段階で定めた削減目標に向かって、思い切って削減することになります。

この場合はすべて必要な仕事ですから、削減すれば何らかの悪影響が考えられます。
考えられる悪影響への対策をたて、勇気をもって削減していきます。

■最後のステップ   (フォロー)

大胆に仕事の削除を行えば、必ず問題も発生し、対策がうまく機能しているか確認する必要があります。仕事は放っておけば、増えるだけで決して減りません。

物事は単純に考えましょう。多すぎるのなら、減らせばよいのです。
経営者の強い決意が次の視野を開きます。

問題は単純に考えるべきで、後はやるか、やらないかです。

      以上

(社長の社外ブレーン)藤川コンサルティングオフィス
中小企業診断士/特定社会保険労務士/1級ファイナンシャルプランニング技能士
藤川 利雄

■―――――――――――――――――-―― NPOみなと経営支援協会−201306―■

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