特定非営利法人東京都港区中小企業経営支援協会NPOみなと経営支援


●2013年3月「経営改善計画」の方策重点の変化について

●2013年3月「経営改善計画」の方策重点の変化について

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2013年 3月 「経営改善計画」の方策重点の変化について
中小企業診断士:吉村信行

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経営改善はどんな企業にとっても永遠のテーマですが、ここでは資金調達が困難に陥った企業の再生のために、金融庁が示している「経営改善計画」を策定するための、方策重点の変化について述べます。

(1)経営改善計画の有効性

私は、二期連続以上赤字で債務超過という、金融機関のいわゆる信用(貸し出し)格付けが低い企業に、「経営改善計画」書の提出を助言しています。出前経営相談でその策定の支援を経営革新計画認定の支援を含め30件近く行ってきました。

金融円滑化法では、貸し出し条件の変更、即ち既存債務の返済猶予のスムーズな実行が主な目的ですが、私が扱ったものはほとんど新規の貸し出しです。減額をされたものも多いですが支援を行った件数の80%近くは、融資が実行されました。従って、新規融資についても「経営改善計画」がかなり有効であると判断できます。

現行の金融円滑化法は延長されてきましたが、25年3月末で終了するものの、上記の点からも「経営改善計画」の重要性は今後も変わらないと思われます。ただ、その方策の重点が変化していますので、ご参考にしていただければと思います。

(2)不況初期の重点は緊急方策の策定が重点

2008年のリーマンショック後、セーフティネットの拡大や中小企業金融円滑化法の施行直後は急激な売上高の減少に対して緊急方策の実施のニーズが強くありました。すなわち、売価引き下げや、売上高減少に見合ったコスト縮減が方策の中心でした。また大手企業の中抜きなどの荒っぽい方策への対応も課題でした(これは、ある企業にとっては売上げ拡大のチャンスでもあったのですが)。

リーマンショック後の不況の初期においては、早急なコスト削減が必要であり、それが「経営改善計画」の中心でした。すなわち1年以内を目安に、減少した売上げでも損益トントン以上まで持っていくことです。売上高向上策も低価格品の品揃え強化やサービスへの参入など短期的に成果があがる方策が多く採られました。

具体的には、海外からの低価格品の仕入れ、発注ルートの中抜き(元請けを通り越して、その下請けへの発注)、人件費の削減、家賃の値引き、遊休資産の売却や活用などの緊急方策です。これらの方策は効果を上げ、セーフティネットの利用を含めて、かなりの企業が危機を脱することが出来ました。(その後大震災でまた需要減少に見舞われましたが、最近では需要が震災前に回復しつつあります)。

その意味では、セーフティネットや金融円滑化法は企業にそうした方策をとる時間を与えたという点で大きな効果があったと言えます。

(3)売上高アップや特長商品の開発が重要に

ただ、その一方で売上高のアップや体質改善が進まず、セーフティネットに引き続き依存している企業も少なくありません。また構造的に需要が減退している業種も目立ちます。発注企業の海外移転が進んでいる下請けの製造業、IT企業に浸食されている広告・出版・印刷業界、接待費に依存していた飲食業などです。

また、技術者の定着に失敗した美容業界も需要減と技術者不足に悩まされています。ホテル業界もベテラン不足に悩まされています。これらの業種ではコストの削減だけでは限界があり、借入金返済の源資となる利益も確保が困難な場合が多いです。

そこで、売上高アップの方策が重要となっています。例えば、顧客の対象業種を伸びている業種にシフトする(例えば、広告・出版・印刷業が顧客を介護業界の顧客などへ拡大する)、また、WEBに侵食されている広告・出版・印刷業が自らWEBに進出する。海外進出、特長ある商品・サービスの開発、WEBの最新技術の活用による売上高アップなどが重要になっています。また、美容業やホテル業では従業員の育成計画の導入などです。

これらの方策は単年度では目だった成果は出にくく、成果が出るまで2〜3年かかるものが多いです。従って、中期計画の要素がより強くなります。

(4)中期経営改善計画策定の着眼点

経営改善計画の策定にあたっては、同業種はもちろん他の業種の改善事例が参考となります。また、中小企業診断士などの経営コンサルタントの助言も参考になります。

そして他社の事例を参考としつつも、キーは経営環境の分析を徹底して行い、自社の強みを洗い出して、どこにチャンスがあるかを検討することです。自社の「強み」「弱み」や環境の変化の「チャンス」や「脅威」分析のいわゆるSWOTでも特に「強み」や「チャンス」の分析が重要です。なぜならば、環境の「脅威」は現実のものになっており、弱みも現実のものとして現れているので業績が悪化しているからです。

方策を立て、それを実行して、改善のPDCA(計画、実行、チェック、しくみや方策の改善アクション)をまわして、中身をスパイラルアップすることが成功に繋がります。 

(5)経営革新計画策定支援の重要性

今まではセーフティネットも拡大されておりましたので、前向きの投資もそれを利用して行えた場合が多く、経営革新計画認定の申請件数も大幅に下がっています。しかし、セーフティネットの対象業種が大幅に縮小されつつある今日、経営革新計画策定のニーズが高まりつつあります。

経営革新計画とは新しい商品・サービス、新しい販路、新しい調達方法などを方策に取り入れる企業に対して、その計画を認定し、資金調達などを後押しする国の制度です。

この間の不況で業績が損益スレスレとなっており、新規の事業などを行おうとする構想があっても、必要な資金を確保するのが困難な企業は多いです。こうした企業の後押しをすることが重要で日本を元気にする一助となるはずです。

また、金融緩和をしても実需が無ければ、株や土地証券などに流れ、バブルの一因となってしまいます。経営革新計画に必要な資金は実需であり、大なり小なり構造改革に寄与します。

その点で経営革新計画の認定拡大が重要となっています。経営革新計画の融資は保証協会の保証をバックとした区や都の融資斡旋や政策金融公庫の制度があります。保証協会の80%保証(保証協会と金融機関の責任共有)ですが、金融機関でもその取得を重視している場合が多いです。

但し、現在も大きな赤字を計上している企業は、まずは経営改善計画を策定・実行した方がベターでしょう。赤字体質のまま、新しい事業に挑戦するのはリクスが大きく命取りになりかねませんので。

上記の要素を勘案し、転廃業を含め、企業の置かれた位置、内容を見極めて自社に適した計画作りと実行をすることが期待されます。

中小企業診断士:吉村信行

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