特定非営利法人東京都港区中小企業経営支援協会NPOみなと経営支援


●2012年3月「転業のススメ」

●2012年3月「転業のススメ」

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2012年3月 「転業のススメ」

中小企業診断士、事業再生アドバイザー(TAA、ATP) 松崎 邦彦

メールはconsul-k@bd5.so-net.ne.jpまで願います。


■―――――――――――――――――――――――― NPOみなと経営支援協会−■

事業環境は技術革新や行政の動きによって大きく影響されます。
身近な街のお店で見ても、ITの技術革新による影響は大きく、パソコンとプリンターの高品質化により印刷屋が商売を続けていくことが困難になり、Amazon等のインターネット・ショッピングの普及により街の本屋が、音楽配信によりCDショップ(レコード屋)がお店を閉めました。

また、建設業では公共事業の減少により売上が大幅に減少した事例や、新たな法令により業界全体が存続できなくなる事例もあります。下請会社では取引先が生産拠点を海外に求めた結果、受註が無くなる事例も出ています。

今後も技術革新のスピードは更に速まるでしょうし、長期的にみれば少子高齢化による人口構成の変化が消費行動にも影響が出ることは確実です。

御社の置かれている環境はどのように変化しているでしょうか。5年後10年後も今の業態は維持しているでしょうか。環境の変化が大きい場合には、経営努力だけでは業績を維持できない深刻な状況にもなります。

中小企業白書2011年度版(第3部2章1節)では、企業の成長のためにも転業の促進を重視しています。ここで言う「転業」とは、自社の技術を活かして新分野に進出したことで、売上構成比が変化し、最も構成比の高い商品やサービスの売上が今までの業種を超えた事を指しています。

その事例として、建設業から介護福祉分野及び農業分野へ進出し相乗効果を出している企業や、陶磁器の作成技術を生かし壁面緑化の壁を開発し建設業界へ販路拡大を行った企業など数例を白書に掲載しています。

自社の製品や商品に「こだわり」を持つことはとても大切な事です。そのこだわりを「商品そのもの」から「提供価値」に置いてはいかがでしょうか。

<参考:中小企業白書>
概要:http://www.chusho.meti.go.jp/pamflet/hakusyo/h23/h23_1/110701h23_gaiyou.pdf

第3部2章全文:
http://www.chusho.meti.go.jp/pamflet/hakusyo/h23/h23_1/110803Hakusyo_part3_chap1_web.pdf/

また、白書以外でも過去の事例が公開されています。こちらも参考になります。
「経営革新事例集(平成18年度)」
http://www.chusho.meti.go.jp/keiei/kakushin/jirei_18fy/pdf/kakushin_jirei.pdf
「平成20年度版サービス分野における経営革新事例集」
http://www.chusho.meti.go.jp/keiei/kakushin/manyual_kakusin/20fy/download/KakushinJireiService.pdf

■転業の規模

転業はどの程度行われているのでしょうか。起業・開業が年率3〜5%で推移しているのに対し、転業による転入率は2〜3%に留まります。業種で見ますと、医療・福祉、飲食・宿泊業は、4%前後の開業率に比べ転入は1%未満と低い傾向にあります。一方、卸売り業や製造業は開業に比べ転入が多い業種となっています。

業種(大分類)間の転入転出の動きを見ると、卸売業(21.7万社)から小売業(18.2万社)へ10年間で1万社が転業し、逆に小売業から卸売業へ1万社が転業しています。また、卸売業と製造業(18.4万社)では双方向で8千社づつ計1万8千社が移動しています。
不動産・物品賃貸業(5.7万社)から建設業(18.9万社)へ4千社が転出していますが、一方転入は小売、卸売、建設の各業種からそれぞれ3千社計1万社が転入しています。
更には同じ大業種の中でも、小分類間での転業もあります。

この動きを1つの業種で見てみますと、現在営業している製造業の中で20年以上前から同じように継続している会社は意外な事に36%に留まります。直近20年内に起業した会社は45%と多くを占めていましたが、小分類を含め転業してきた会社も18%に上っています。

■転業の効果

では、どのような動機や目的で転業し、その効果はどのように出ているのでしょうか。
転業の動機では、
  既存事業の売上不振・収益低下への補填(40%)
  既存事業市場が飽和・成熟しつつあり将来性がない(32%)
  既存事業が陳腐化し将来性がない(26%)
と既存事業の不調を理由とする動機が多いですが、
  企業のさらなる成長(49%)
  事業多角化の一環(36%)
という前向きな動機の方が多い事がアンケートで出ています。

転業によって、経常利益を増加した企業が58%、52%では従業員数を伸ばしていて、半数以上が良い結果を出しています。一方29%は経常利益が減少、33%が従業員を減らしています。成果を出せた企業があるのも事実です。

転業による影響として以下のような回答でした
  @売上や雇用の増加(46%)
  A企業の成長や将来性が上昇(44%)
  B企業の存続(41%)
  C取引先が増えた(41%)

■転業の課題と成功要因

転業した企業に課題と成功要因を聞くと
(転業時の課題認識/成功が得られた要因)
  資金調達(36%/32%)
  質の高い人材の確保(31%/36%)
  販売先の確保(22%/35%)
上位に並んだこれらの課題は、既存事業の維持/成長にも必要な要因です。

転業する新たな市場に対する課題では、
  専門知識・技能の拾得(20%/23%)
  情報収集(17%/21%)
  対象マーケットの選定(16%/−)
と意外に低い結果でした。

転業時に課題として重視していなかった成功要因では、製品・商品・サービス等の高付加価値化(23%)価格競争力の強化(21%)も重要であったと回答しています。

■転業に対する公的支援「経営革新計画」

御社の持たれている高い技術力や商品を応用することで、更に御社が成長する可能性があったとしても、潤沢な資金を保有していない中小企業では、転業に要する資金が大きな課題であるのも事実だと思います。課題と成功要因でも資金調達が一位となっています。

転業にはどのくらいの費用が必要なのでしょうか。転業する業種や企業の規模によっても差が大きいのですが、1億円以上と回答した企業も3割存在する一方、500万円未満が25%、1000万円未満(8%)をあわせ1/3を占めています。転業に際して活用した/今後活用したい支援策では、資金援助が圧倒的に多数を占め、設備投資支援が続きます。

中小企業が転業を行う事を支援する制度として、東京都の「経営革新計画」があります。年間で500社が承認されています。

この制度は従来のビジネスから蓄積したノウハウや強みを生かし、これまで自社で取り組んでいなかった以下の様な新事業展開を行う企業を対象としています。
  ・新商品の開発や生産
  ・新役務(サービス)の開発や提供
  ・商品の新たな生産方式や販売方式の導入
  ・役務(サービス)の新たな提供方法の導入その他の新たな事業活動

経営革新計画の承認を受けた中小企業者は、計画期間中、以下の支援措置が利用できます。(注:それぞれの支援機関等における審査が必要です)
  (1) 政府系金融機関による低利融資制度
  (2) 中小企業信用保険法の特例
  (3) 中小企業投資育成株式会社法の特例
  (4) ベンチャーファンドからの投資
  (5) 特許関係料金減免制度

承認を得るため経営目標の設定と3年から5年の計画書を作成する必要があります。
それは、楽観視することなく綿密な転業計画を立て、黒字化には想定以上の期間がかかることに留意して転業に臨むべきであるとの主旨からです。

詳しくお知りになりたい方は資料をご覧ください。
また、2009年6月のこのコラムでも「作成手順とポイント」があります。参考にして下さい。

「東京都における経営革新計画の承認申請の手引き(東京都産業労働局)」
http://www.sangyo-rodo.metro.tokyo.jp/shoko/keiei/kakushin/1gaiyo.htm
「平成23年9月版パンフレット」
http://www.sangyo-rodo.metro.tokyo.jp/shoko/keiei/kakushin/1gaiyo.files/panph.pdf
「今すぐやる経営革新 平成21年度版」
http://www.chusho.meti.go.jp/keiei/kakushin/pamphlet/2009/index.htm

現在の経営が苦しい原因として、業界の置かれた環境が構造的なものであるなら、支援制度を活用した新規事業展開など、根本的な現状打破策を考えられたらいかがでしょうか。

NPOみなと経営支援ではお役に立てる経験豊かな中小企業診断士が多数おりますので、一度ご相談されてはいかがですか。

中小企業診断士、事業再生アドバイザー(TAA、ATP) 松崎 邦彦

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