特定非営利法人東京都港区中小企業経営支援協会NPOみなと経営支援


●2011年12月「後継者不在の場合の対応(廃業かM&Aか)」

●2011年12月「後継者不在の場合の対応(廃業かM&Aか)」

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2011年12月 「後継者不在の場合の対応(廃業かM&Aか)」

中小企業診断士 佐々木 文安

メールはfumiyasusasaki@yahoo.co.jpまで願います。


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経営コンサルタントして「事業承継支援」を専門分野の一つとしていることから、これに関するさまざまな相談を受けています。

特に多いのが後継者に関する相談ですが、これまでこのコラム欄で「長男か三男か」「子息か従業員か」「営業部長か経理部長か」「従業員かM&Aか」というテーマで実際にあった相談と助言事例を紹介させていただきました。今回は、後継者不在の場合の「廃業かM&Aか」という相談と助言事例について紹介させていただきます。

会社は売上高3億円・従業員30人ほどのプラスチック製品製造会社で、社長(70歳)が創業し35年になるということでした。社長夫婦に子供がいないことから、従業員に会社経営を譲るつもりでいましたが、日々仕事に追われて後継者を確保できないまま現在に至っているということでした。

しかし、経営環境は厳しくなるばかりで、また経営者として体力にも自信が持てなくなったことから、今後どのようにしたらよいのかを友人の経営者に相談しました。その友人からは、「取引先の海外移転が増え業界の将来も明るくないことから、余力があるうちに整理したほうが良いのでは」とアドバイスを受けました。そこで顧問税理士に試算してもらったところ、従業員の退職金は外部積み立てもあり支払えること、借入金も少しずつ増えてはきたが土地を売却すれば返済できること、また自分たちの退職金も僅かながら確保できること等の報告を得ました。

そこで、親身にしてもらっているメイン銀行(大手銀行)の担当者にも相談したところ、「M&Aという方法もあるので検討してみてはどうですか?」と提案され、早速あるM&A会社を紹介してくれました。

ところが、その会社の担当者の話を聞いてびっくりしてしまいました。当社の事業規模がそう大きくないのに、仲介手数料が高かったからです。また、「一生懸命やりますが、事業特性を考えた場合、買い手を探すのに時間がかかるかもしれません。」と言われました。

そこで、このままM&Aの話を進めたほうが良いのか(着手金がかかる)、友人の言うように廃業に向けて準備をした方が良いのか分からなくなり、ある方の紹介により私のところに相談に来られました。

さて、皆さんはこの相談にどのようにアドバイスされますか?経営判断に唯一の正解はありませんが、相談者が腑に落ちるようなアドバイスが最も適切なアドバイスではないかと私は考えています。社長からよくお話しを伺い、また税理士作成の資料とM&A会社の提案書を見せていただいた上で、私としては次のようにアドバイスしました。

(1) 廃業とM&Aの根本的な違いに対する理解

後継者がどうしても見つからない場合、中小・零細企業では廃業を選ぶ場合が多いようです。しかし、今ではM&Aで対応するケースが増えています。インターネットで調べてみれば、その状況を直ぐに確認することができます。

どう考えても廃業しか選択の余地が無いのであれば、それはやむを得ないと思います。しかし、M&Aの選択の余地があるのであれば、これを選択したほうがいろいろな面で良いと思います。

M&Aを選択して良いのは、まず従業員の雇用が守られることです。従業員は年齢の高い方が多いようですが、この方々は辞める際に退職金を貰ったところで、職を失うデメリットの方が格段に大きいと思います。この方々は再就職先を探すとしてもほとんど見つからないと思います。これまで一緒に働いてくれた人たちを、出来るのであれば厳しい経済環境の中に放り出すことは避けた方が良いのではないでしょうか。

それから、取引先に迷惑をかけないで済むということです。当社が低収益に苦しんできたとはいえ、古くからの取引先が多く、その先は当社に大きく頼っていると思います。当社が廃業したら部品調達できず困る先が何社も出てくるでしょう。そのことを客観的に認識し、自分の都合だけで廃業することは避けた方が良いのではないでしょうか。

また、M&Aで手元に残るお金と廃業した場合に手元に残るお金とでどちらが多いかは、正確にはシュミレーションして見なければ分かりません。しかし一般論として前者の方が多いと言われています。企業を生きたまま譲渡して資金回収するのと、廃業し不動産にして資金回収するのとでは、当然のことと思います。但し、例外もあるので必ずシュミレーションしてみることが大事です。

このように、廃業とM&Aは根本的に違うので、よく理解して対応する必要があります。なお、今回のM&Aを進める場合、銀行から紹介された仲介会社が当社に相応しいかどうかが大きな問題だと思います。

(2)中小企業のM&A仲介会社の選択

今回メイン銀行から紹介して貰った仲介会社は、M&A仲介会社では大手でしっかりした先ですが、ハッキリ申し上げて当社には相応しくありません。大手のM&A会社は固定費が高いことから手数料も高く設定しており、着手金も取ることが一般的です。

中小企業専門の仲介会社は、着手金とらないで成功報酬だけとしている会社も多く、またその成功報酬も大手ほど高くありません。従って、M&Aが成就した場合、経営者の手取り金額が大きく違ってきます。また、中小企業のM&Aに関する情報量も大手よりもたくさん集まっていると思います。

中小企業は中小企業のM&Aに慣れている会社にお願いするのが一番です。今回のM&A会社の担当者は、当社の規模からあまり気が進まないのではないでしょうか? もし、ご希望でしたら中小企業専門の仲介会社を紹介させていただきます。

数回の相談でしたが、私からM&A仲介会社を紹介させていただきました。仲介会社からは、他県にある同業の会社の紹介を受けて、3カ月にわたる交渉の末に株式譲渡することが決まりました。その会社が当社に一番魅力を感じたのは、安定した取引先が多いからで、一層深掘りして利益を上げていきたいと話していたということでした。
また、相談に来られた社長は顧問としてしばらく残り、派遣されてきた新しい社長のアドバイザーを務めることになりました。その社長からは「本当に良いアドバスを有難うございました。」とお礼の言葉がありました。
以上
中小企業診断士 佐々木 文安

メールはfumiyasusasaki@yahoo.co.jpまで願います。


■―――――――――――――――― NPOみなと経営支援協会−201112―■



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