特定非営利法人東京都港区中小企業経営支援協会NPOみなと経営支援


●2011年7月「資金と資金繰り」について(その2)

●2011年7月「資金と資金繰り」について(その2)

■経営お役立ち情報  ビジネスヒント情報―――――――――――――――――――■

2011年7月 「資金繰り表」について

中小企業診断士  渡邉 勲

メールはwatanabe−bsl@nifty.comまで願います。




■――――――――――――――――――――――― NPOみなと経営支援協会−■

前回は、「資金と資金繰り」について見てきました。資金と資金繰りについて、より理解を深めていただけたと思います。今回はその続きで「資金繰り表」についてですが、ちょっとおさらいです。す。

資金とは、事業を営んでいる(会社を経営する)と事業のために使う資金(お金)のことで、その資金のやり繰りのことを資金繰りといいました。そして、資金不足が生ずるのは、支払いと回収に時間的なずれが生ずるからでした。不足の生じないようにするのが「資金繰り」でした。

そして、資金には、運転資金と設備資金とがあり、運転資金は、経常運転資金、増加運転資金、季節資金、決算資金、賞与資金、減産資金、在庫資金、つなぎ資金、月中資金、借入金の返済資金と支払利息、割引料などに細分化するということでした。

さらに、資金繰りはボクシングの試合で、利益計算は野球の試合である、ということでした。

資金にもいろいろあるということをみてきました。また、資金繰りが必要なこと大事なことも見てきました。余裕を持たせる必要があることもご理解いただけたと思います。

では、資金繰り表についてです。

●資金繰り表を作りましょう

私は、資金繰りはお金の在庫管理だと思っています。改めてお聞きします。社長さん、お金の在庫管理をしていますか? 日々いくら入りいくら出ていったのか、そして在庫はいくらあるのか、現金や預金の出納記録(記帳)はさせているが、資金繰り表を作っているという会社が少ないように見受けます。お金の出入の記録をする資金繰り表を作り記録をとりましょう。会社全体のお金の動きがつかめます。金融機関との融資(借入)交渉には必要のものです。

また、常に向後3〜6か月間の資金の動きを把握ないしは予測しておくことです。そのためには予測の資金繰り表を作成することです。資金繰り表に実績を記録すれば、同じ様式で予測もできるようになります。資金繰り表には決まりきったフォームはありませんが、一般的な様式のものがあります。それを手に入れて使うか、それを参考にして自社のものを作成し使うことです。難しくはありませんので、パソコン(excel・表計算ソフト)で簡単に作成することをお薦めします。

また、注意事項を一つ加えておきます。
それは、資金繰り表でいう資金は、何時でも支払いに使える資金ということで定期預金(固定預金)は除きます。直ぐに解約できない、借入金の担保になっているなどによるものです。

まず、資金繰り見本を示しておきますので参考にしてください。


●記入要領(項目と説明)
■月(期)初繰越(H)
  資金(現預金)の前期(月)からの繰越額記入欄です。

■経常収支の部
 営業(売上)収入:通常の営業(事業)活動による入金欄で、以下のよう
 に区分します。
 ・現金売上
  名称の通り現金売上を記入する欄です。一般的な商店 飲食店 消費
  者向けサービスなどはこちらが主です
 ・売掛金回収
  掛売り代金(売掛金)の回収を記入する欄です。クレジット売上げの回
  収などもここで処理します。通常、売上より1〜2か月後です。(請求漏れ
  を起こさぬようチェックが必要です。)
  建設業や情報システム構築業のような請負業の場合は請求ベースや約
  定ベースによる請求の入金です。
 ・受取手形期日入金
  回収した手形の期日入金となる金額の記入欄です。
 ・手形割引(割引手形)
  回収した手形を銀行で割り引いた場合の金額です。(取引銀行との間で
  割引枠が設定されます。)割引料(利息)が発生します。
 営業収入(売上収入)計:現金売上から手形割引までの合計です

 営業外収入
  通常の営業(事業)取引以外の入金額の処理欄です。不動産の賃貸
  収入(不動産業の場合は営業収入)や利息収入(受取利息)などです
 その他の入金
  上記以外のその他の入金額を処理します。補助金や助成金などがある
  場合はここで処理します。

 収入合計(A):上記の収入の合計額です

■経常支出の部
 通常の営業(事業)活動による出金(支払)を処理するもので、以下のよう
 に区分します。
 ・支払手形期日決済(除設備)
  振出している手形の期日到来決済金額の記入欄です。
 ・現金仕入(原材科・仕入品代)
  現金仕入れを処理する欄です。(通常は、あまり発生しないと思われま
  す。)
 ・買掛金・支払債務支払
  自社の掛仕入(含む費用)の支払い額を処理します。仕入先からの請
  求書により仕入計上月の翌月支払というのが一般的でしょう。
 ・人件費(社員給料・賞与)
  役員、社員(正規従業員)の給料と賞与の処理欄です。賞与の支払い
  時は増加します。(利益処分による決算賞与は決算支出とした方
  が把握しやすいです。)
 ・人件費(社員以外の給料・賞与)
  正規従業員以外の派遣社員、パートタイマーやアルバイトなどのへ給料
  と賞与の支払い額です。
 ・源泉税・社会保険料納付
  給料賞与等の源泉所得税や社会保険料の納付額を処理します。
 ・諸経費支払
  その他の諸経費すべてです。必要があればわかりやすい項目で細分化
  設定することです。(年払い処理のものは支払月ごとで区分した方がわ
  かりやすいかと思います。)
 ・支払利息・割引料
  長短借入金の約定利息の合計額と手形の割引料です。保証協会の保
  証料も含みます。
 ・その他の支出
  その他支払を処理します。立替金や前払金が発生する場合などです。

 経常支出合計(B)
  上記通常の営業(事業)活動による出金(支払)の合計額です
 
 経常収支過不足(C) = (A) - (B)
  収入合計(A)と経常支出合計(B)とで過不足を算出します。ここで不足
  (マイナス)となる場合は、月(期)初繰越(H)で賄えるかの注意が必要
  です。賄えないのであれば調達の必要があります。早めに把握し手を打
  つ必要があります。

■設備・決算支出の部
 設備資金や決算期に発生する支払を処理します。(毎月のものではありま
 せん。)
 ・設備代支出
  店舗新設や工場新築などの支払い代金処理欄です。年度計画等によ
  り把握します。契約金や手付金なども含みます。
 ・設備支払手形期日決済
  設備代金を手形で支払った場合は、期日到来の決済額です。
 ・法人税等税金支払
  決算期に納税申告により納付する税金です。法人税、法人事業税、法
  人住民税等です。業績により変動します。予定納税がある場合は、ここ
  で処理します。
 ・配当金・役員賞与支払
  決算時の利益処分によるもので決算期ごとに変動します。
 ・決算賞与
  決算時の利益処分による社員への賞与で、決算内容により変動します

 設備・決算支出合計(D)
  上記の合計額です

■財務収支の部
 予測の場合は、上記の経常収支の過不足額と設備・決算支出の合計額
 などから資金の過不足額を算出し記入します。
 ・長期借入金
  返済期限が1年以上のものの借入金を処理します。
 ・短期借入金
  返済期限が1未満のものの借入金を処理します。決算資金、季節資
  金、一時のつなぎ資金等です。
 借入金合計(E)
  長短借入金の合計額です。
 いずれも借入には期間を要しますので、早めの把握と手配が必要です。
 ・長期借入金返済
  長期借入金の約定返済額です。
 ・短期借入金返済
  短期借入金の約定返済額です。
 借入金返済合計(F)
  長短借入金の約定返済額の合計額です。
 借入金過不足(G)=(E)-(F)
  長短借入金の収支差額です。

 月(期)末現金預金(I)
  (H)+(C)-(D)+(G)の計算から算出された翌期(月)への繰越額です。
  計算式がわかりにくいですが、慣れればシンプルなものです。慣れていた
  だきたい計算です。
  (excel等表計算ソフトで作成しておけば。自動算出されます。

  この欄がマイナスであれば、事業は終わりとなります。そうならないために
  作成するのが資金繰り表で、実績より3か月から6か月先の把握が必要
  なのです。これは経営者自身がやることです。結果である決算書と大きく
  違うところなのです。このことは理解を深めておいてください。

 ・(受取手形回収高) 手形の回収額です。
  回収した金額を記入します。
 ・(支払手形振出高) 手形の振出額です
  振出した金額を記入します。

 ・(長短借入金残高) 長短借入金残高の合計額です
  借入金の残高を記入します。

●補足説明
資金繰り表を作成するにあたっての項目と記入要領の説明をしましたが、もう少し補足します。資金繰り表の大きな項目は、収入、支出、残高です。

収入には、営業活動で得られる経常収入と、営業活動以外の不動産や設備の売却代金、保険の解約金、利息などから得られる経常外収入に大別されます。

経常収入の売上収入には、前受金収入がある場合や、こうした収入が発生する業種では、これによって資金繰りが大きく変わってきます。
前受金が増えると資金繰りに余裕が出ますが、逆に売掛金の増加や出来高払いによる回収が増加すると、資金繰りは厳しくなってきます。自社の経常収入の特徴や動きを把握することが必要です。

支出についても、現金仕入れ、支払手形の決済、人件費や家賃などの諸経費の支払いなどの経常支出と営業活動以外の支出である経常外支出に分かれます。支払利息や手形の割引料などは、筆者は経常支出として処理することをお薦めします。定期預金の預け入れや解約は、財務収支として処理します。

また、設備の取得に関する支出や約定返済の長短借入金の返済は区分して処理します。

資金繰りぼ基本は、商取引に基づくものとそうでないものとに区分することです。商取引の基本は、支払い先行し、回収が後ということです。このことを念頭に置いて、常に資金に余裕を持たせておくようにすることです。

●資金繰り表作成によるメリット
資金繰り表を作成すると、月の中でどう資金が変化するかが把握できます。回収は月初に多いのか月末が多いのか、支払いは給料日とか月末に集中しているなどです。5日単位ごとにも動きがあることが理解できます。

また、年間では、季節商品の仕入れ時期、決算確定利益処分時、賞与の支払い時期には通常月とは異なり支払資金が大幅に増えます。年間ではどのような傾向があるのか、自社の資金の動きの特徴が把握できます。

それによって3〜6か月先の資金繰りや資金需要の予測が立てやすくなります。中小企業経営者は、ぜひマスターしていただきたいのです。

2回にわたって資金と資金繰りについて説明してきましたが、資金繰りの改善や資金調達のお役にたてば幸甚です。
なお、資金繰りについては、資金繰り実務に詳しいコンサルタントを見つけて相談することをお薦めします。

中小企業診断士  渡邉 勲

メールはwatanabe−bsl@nifty.comまで願います。


http://www.wbslabo.jp/

■―――――――――――――――――-―― NPOみなと経営支援協会−201107―■
以 上

お役立ち情報目次へ

homeご挨拶npoみなと経営支援について会員紹介コンサルティング事業新着情報定例会報告お役立ち情報(コラム)サイトマップお問い合わせリンク