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●2011年6月 マーチャンダイジング戦略立案のポイント

●2011年6月 マーチャンダイジング戦略立案のポイント

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2011年6月 「マーチャンダイジング戦略立案のポイント」

中小企業診断士 栗田 剛志

メールはt-kurita@m9consulting.bizまで願います。


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1 マーチャンダイジング戦略立案の前提

マーチャンダイジングの目的は、「消費者の価値を増大する」ことです。取りそろえる商品やサービスを増やすにしろ、絞り込むにしろ、自社の都合に合わせるのではなく、消費者の価値を基準に考えていかなければなりません。

マーチャンダイジングには、マーケティングの考え方が不可欠です。従来のように、「うちは○○屋だからこれを置いておけばいい」では通用しなくなります。消費者の視点で考えることで、消費者が何を望んでいるのかを正確に把握し、小売業では取り扱う商品を特化するか、サービス業では多能工化していく必要があるのです。

顧客視点で考える方法として、以下のやり方があります。

マーケティングの「4P」という考え方に、「4C」を掛け合わせる考え方があります。
「4P」のそれぞれに、掛け合わせるものCが決まっており、



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という組み合わせになっています。

「4P」そのものでは、作り手側からの視点に偏りがちですが、この「4C」を踏まえることで、強制的に顧客側からの視点に立つことができるのです。

製品(Product)×顧客価値(Customer value)では、作り手が提供する価値ではなく、それを利用したときの顧客の価値を考えます。

価格(Price)×顧客負担のコスト(Customer cost)では、販売価格を考えるのではなく、顧客が負担する価格と考えてみます。

流通(Place)×利便性(Convenience)では、自社の都合のいい販売チャネルではなく、顧客にとって最も便利はチャネルについて考えます。

プロモーション(Promotion)×コミュニケーション(Communication)では、一方的な販売促進ではなく、双方向の販売促進を考えるのです。

2 マーチャンダイジンク戦略立案の3つのポイント

消費者の価値を増大するためのマーチャンダイジング戦略のポイントは大きく分けて3つあります。

(1)インターネットとリアル店舗の融合

これからのマーチャンダイジングは、リアル店舗だけで完結するものではありません。今以上にインターネットの普及が進み、インターネットを経由する商取引自体は増えていくことが考えられます。人口減少社会においても、その傾向は深まる一方です。

店に足を運ばなくても買い物をすることができるようになると、リアル店舗での消費者の価値は、足を運ぶことでしか得られないサービスの提供をしなければなりません。お客様に来店していただいたことに対してのサービスをほどこすことでインターネットとの差別化を図るのです。

1つの例が、「体験」です。来店していただいた顧客には、顧客が興味を持つ商品やサービスを体験してもらうのです。その体験を通じて顧客が興味を持ってもらえる品揃えを考えていかなければなりません。

その品揃えとは、「情報」でもよいのです。物品のやり取りだけでは、顧客は離れていってしまいます。

リアル店舗での品揃えは、専門性を持たせ、ある種のものに特化するべきです。一方、インターネットは、品揃えの補強を行うものとして考えるべきです。限りあるスペースを有効利用し、業務の効率化を図るために、品揃えを特化していきます。リアル店舗では品揃えのアイテムを深く掘り下げる一方で、品揃えのラインはインターネットを活用するのです。

インターネットとリアル店舗の使い分けは、在庫以外にも、店に行けば「体験」できるといったことで区別していきます。

また、顧客は、来店する前にインターネットで取れる情報は調べてきます。その情報提供段階で十分でなければ、他に行ってしまいます。WEBは重要な告知ツールです。WEBと連動させた店頭販促が今までにも増して重要になってきます。

消費者はどのような情報を知りたいのでしょうか?

WEBでの告知は、自分の店のアピールではなく、顧客が解決できる情報を提供するのです。インターネットで顧客の課題解決の可能性を情報で提示し、実際に解決するのは、店頭に来てもらうことであるということを知らせていかなくてなりません。情報提供もマーチャンダイジングの一環なのです。

(2)時間軸 時間価値を考える

人口減少時代におけるマーチャンダイジングの考え方として、「時間」というものがあります。誰もが時間を無視することはできません。顧客の時間をどうするかにテーマを絞って考える必要があります。

人口減少社会では、時間に余裕がある高齢者が増える一方で、日常的な消費支出は、時間に余裕のない共働きの家庭が中心となります。
時間を有益に過ごしてもらうための品揃えと、時間を短縮するための品揃えをしなければなりません。

時間のある高齢者の学びたいという意欲は、「余裕ができた時間で何か新しいことを学びたい」という気持ちから発生する欲求です。また、若いころは忙しくてできなかった旅行や、カネに余裕がなくて費やせなかった趣味のモノを購入することも考えられます。話し相手でもよいかもしれません。時間を使うことを求めているのです。

一方で、共働きや普段仕事で忙しい方は、できる限り自分の時間を確保しようと、家事や雑用に時間をかけたくないといったニーズが発生します。時間を短縮する、作業そのものをなくす、代わりに行うといったやり方のいずれかを提供することで、消費者の価値を増大させることができるのです。

例えば、食品であれば加工済みのもの、サービスであれば複数のサービスがワンストップですんでしまうものなどが考えられます。顧客は、生活必需品の買い物やサービスに時間を使いたくないのです。

高齢者と共働きでは、どちらも時間を意識してマーチャンダイジングをしなければならないのですが、両者では、時間に対する価値観がまったく異なります。迎える顧客が時間というものをどのように捉えているのかを知る必要があります。そこが消費者の価値を増大するポイントなのです。

時間は万人に与えられた平等なものです。
今まで以上に、時間という概念を意識したマーチャンダイジングを考えるのです。

(3)オペレーション

小売業は、商品を絞り込み、専門性を高めて、コストダウンを図るとともに、顧客に提供できるものを深く掘り下げていきます。なんでも屋が売れる時代は終わったのです。
人口減少社会となっても、消費者の嗜好の多様化はますます強まるでしょう。その対応策としてアイテムを広げると収拾がつかなくなります。

顧客の来店動機も、「なんでもある」から、「あそこに行けば必ずある」に変化していきます。
ラインを広げるには限界があります。アイテムを広げるべきです。
商品を絞り込むことで、さまざまなメリットを享受できます。具体的には、仕入先を統合できることで、業務効率を上げることができます。また、1つひとつの仕入先との取引金額が増えるので、ディスカウント交渉がしやすくなります。

また、従業員の知識向上を図りやすくなり、専門的になることで、顧客満足の向上が可能となります。

サービス業は、施すことができるサービスを多能工化して、ワンストップでさまざまなサービスを提供することができるようにするべきです。
多能工化することで、同じ顧客に複数のサービスを提供できたり、今まで顧客でなかった人にもサービスを提供することで新規顧客の獲得ができるようになります。

中小企業診断士 栗田 剛志

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