特定非営利法人東京都港区中小企業経営支援協会NPOみなと経営支援


●2011年  2月 中小企業の差別化戦略 「お金をかけないでできる差別化を」 

●2011年 2月 中小企業の差別化戦略 「お金をかけないでできる差別化を」 

●2011年  2月 中小企業の差別化戦略

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中小企業診断士 渡邉 勲 

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中小企業が勝ち残っていくためには、差別化による競争優位を確保し維持していくことです。

差別化戦略というと、他社にはない商品やサービスレベルを顧客に提供し顧客の支持を勝ち取る戦略、ということです。中小企業でもできる差別化戦略を考え出す必要があります。

差別化とは、簡単にいえばお客様が受ける満足度ということで、価格と品質での差別化や売り方をも含めて人によるサービス面からの差別化が浮かんできます。しかし、価格面や品質面での差別化は大企業の採る戦略で、中小企業には向かない戦略です。そこで、ここでは中小企業ならでの人の面からの差別化を考えてみることにします。

●人の面からの差別化

中小企業が最も取り組みやすい差別化戦略は、売り方の工夫も含め人によるものといえます。きめ細かい人によるサービスでの差別化のことです。
ただ、この人によるサービスでの差別化は、バラツキが大きいので注意が必要です。経営者と第一線の接客スタッフとの距離が近いのが中小企業であり強みです。この強みを活かして経営者主導で人によるきめ細かいサービスによる差別化戦略を構築、築き上げていくのです。

お客様とよく対話をしなければ良い商品やサービスは提供できません。また、信頼されるスタッフにならなければ、お客様の要望は聞き出すことはできません。

中小企業での差別化は特にコストをかけなくてもできる身の回りにある「知的資産(見えざる資産)」を活用することによって、他社との差別化を実現していくしかないのです。それが、ひいては経営の質や企業価値を高めることにもなるのです。

そこで考えられるものに、「無財の七施」という仏教での教えがありますので、それを参考にして考えてみましょう。

●「無財の七施」とは

「ありがとうございます」 「おかげさまで」 といった気持ちを行動で表す身近な実践として、お金がなくても、物がなくても周りの人々に喜びを与えて、少しでも喜んでいただくという方法が、『雑宝蔵経〔ぞうほうぞうきょう〕』に「七種施の因縁」として説かれている「無財の七施」という教えです。

「仏説きたまふに、七種施あり、財物を損せずして大果報を得ん」とあり、誰にでもできる布施として紹介されているものです。布施というと、金品を施す「財施」ばかりを考えがちですがそうではないのです。

その7つの布施をみていきましょう。
1.眼施(げんせ)=人によい眼をして接すること
2.和顔施(わがんせ)=笑顔を絶やさず人に接すること
3.言辞施(ごんじせ)=やわらかい言葉で人に接すること
4.身施(しんせ)=礼儀正しく人に接すること
5.心施(しんせ)=善心をもって人に接すること
6.床座施(しょうざせ)=他人に席をゆずること
7.房舎施(ぼうしゃせ)=人を家に泊めてあげること

1.眼施(げんせ) 慈眼施ともいう

慈しみに満ちた優しいまなざしですべてに接することです。
温かい心は、自らの目を通して相手に伝わるのです。

「目は口ほどにものを言う」ともいわれます。相手の目を見るとその思いはある程度わかります。相手を思いやる心で見つめると自然にやさしい眼差しとなります。
自らの目を通して相手に心を伝え、相手も自分の気持ちを理解して、お互いが打ち解けることができるのです。
 
2.和顔施(わがんせ) 和顔悦色施ともいう

いつもなごやかで穏やかな顔つきで人や物に接する行為のことです。
喜びを素直に顔の表情にあらわしましょう。

眼施と同様、顔はその人の気持ちを表します。
すてきな笑顔、和やかな笑顔を見ると幸せな気持ちになり周りにも笑顔が広がります。いつもニコニコ、なごやかで穏やかな笑顔を絶やさぬよう心がけることです。

3.愛語施(あいごせ) 言辞施(ごんじせ)ともいう

文字通り優しい言葉、思いやりのある態度で言葉を交わす行ないをいいます。

言葉は人と人との関係を円滑にするコミュニケーションの大事な方法です。言葉一つで相手を喜ばせたり逆に悲しませたりすることができます。相手を思いやるやさしい言葉で接していくことです。
「こんにちは」「ありがとう」「おつかれさま」「お世語になります」など、何事にもあいさつや感謝の言葉がお互いの理解を深める第一歩です。

4.身施(しんせ) 捨身施ともいう

自分の身体で奉仕をすることです。
身体で示すことをさし自ら進んで他のために尽くす気持ちが大切です。

重い荷物を待ってあげる、困っている人を助ける、お年寄りや体の不自由な方のお手伝いをする、というように身体でできる奉仕です。よいことを思いついたらすぐ実行し、自ら進んで他のために尽くすことです。その結果、相手に喜んでいただくと同時に、自己の心も高められるのです。

5.心施(しんせ) 心慮施ともいう

他のために心をくばりをすることです。
心底から共に喜び共に悲しむことが、他の痛みや苦しみを自らのものとして感じ取れる心持ちです。

心はとても繊細なものです。自分の心が言葉遣いや態度に映し出されます。
自分だけがよければいいというのではなく、心底からともに喜び、ともに悲しむことができ、他の痛みや苦しみを自らのものとして感じ取れるようになることです。
慈悲の心、思いやりの心は自然にやさしい顔や眼差しにも表れてくるのです。

6.床座施(しょうざせ)

座る席や座を提供することです。電車の中で自分は疲れていても喜んで席を人に譲るといった行為です。また、時には競争相手にさえも自分の地位を譲って悔いないといったことをも含むのです。

「どうぞ」の一言で、お年寄りや身体に障害を待っている方に席を譲ることです。これは座席だけでなく全てのものを分かち合い、譲り合う心が大切であるということも合んでいるのです。何事も独り占めはいけません。ひいては自分の地位を譲って後のことを託すという意味も合まれます。

7.房舎施(ぼうしゃせ)

風や雨露をしのぐ所を与えることです。たとえ自分が半身濡れながらも相手に雨がかからないように傘を差しかけるといった思いやりの行為のことです。

四国にはお遍路さんをもてなす「お接待」という習慣が残っており、人を家に泊めてあげる、休息の場を提供するということです。これは大変なことで、平素から来客に対してあたたかくおもてなしをすると心がけていなくてはできないことです。そのためには喜んでお迎えできるようにいつも整理整頓や掃除をしておかなくてはなりません。また、風雨をしのぐ場を供することや、傘を差しだすといった思いやりや準備といった行為です。

いかがですか?

どれをとっても、人に対する思いやり、優しさに溢れた言葉です。でも、いざ実行しようとするとなかなか大変なことばかりで、単なる善行ではなく、やはり布施という修行なのかとも考えさせられます。したがって、これらを実行していくためには、自分自身が変わっていかなければならないでしょう。言いかえれば、実践すれば自ずと自分が変わっていくということにもなるのでしょう。

●「知的資産」と「知的資産経営」

いま、「知的資産」とか「知的資産経営」とかいうことがいわれるようになってきています。

「知的資産」とは
特許、ブランド、ノウハウなどの「知的財産」とは同義ではなく、それらを一部に含み、さらに組織力、人材、技術、経営理念、顧客等とのネットワーク、企業文化とか企業風土なども包括する財務諸表には表れてこない目に見えない経営資源を総称するものです。
この「知的資産」は、企業の本当の価値・強みであり、企業競争力の源泉でもあるのです。企業の経営、企業活動は、いまやこの知的資産の活用なしには成り立たないものなのです。

「知的資産経営」
このようなそれぞれの企業の強みである知的資産をしっかりと創り上げ、活用することで企業の業績の向上や、企業価値の向上に結びつけていくことが「知的資産経営」ということです。

今、中小企業が勝ち残っていくためには、差別化による競争優位の源泉をお確保・維持していくことが必須です。差別化を図る手段は色々ありますが、 特に大きなコストをかけなくても身の回りにある「知的資産(見えざる資産)」を構築・活用することによって、他社との差別化を継続的に実現することができ、 ひいては経営の質や企業価値を高めることができるのです。

中小企業でもお金をかけずに採り入れることのできる差別化戦略なのです。

高齢化社会が進展し人と人とのふれあいや対話・コミュニケーションが重視される時代になりつつあります。中小企業では経営者と従業員、従業員とお客様の距離が近いのが特徴です。この特徴を活かし、「無財の七施」を応用し、独自の「知的資産」を構築し「知的資産経営」をするようにしてはいかがでしょう。

しかし、これは一朝一夕にはできるものではなく、ある程度時間をかけて経営者と従業員とで創り上げる、築きあげてくものなのです。それには、中小企業の経営者が、理解を深め、目のつけどころ、発想を転換し、率先実践し、従業員とよく話し合い、みんなの知恵と工夫で独自の「知的資産」を築き上げていくことです。それが中小企業にできる差別化戦略です。

今回のコラムが、そのヒントやきっかけづくりになれば幸甚です。

中小企業診断士 渡邉 勲

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