特定非営利法人東京都港区中小企業経営支援協会NPOみなと経営支援


●「ベネフィット」(お客様にとっての価値)とは

●「ベネフィット」(お客様にとっての価値)とは

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2010年 6月 ●「ベネフィット」(お客様にとっての価値)とは
中小企業診断士 渡邉 勲 

メールはwatanabe-bsl@nifty.comまで願います。

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●「ベネフィット」(お客様にとっての価値)とは

お客様は、なぜあなたの商品を買うのでしょうか? 

今や世の中に出回っている商品やサービスは、似たようなものが多くお客様にとっては選ぶのに困ってしまうという時代です。したがって商品やサービスを提供する側からは、類似品や競合品と見分けのつく独自のもので、自社の商品やサービスを明確にアピールし選んでもらわなくてはなりません。

そのため、お客様にベネフィットを与えろとか、ベネフィットを提供しなさい、とかいわれていますが、ベネフィットとは一体何なのでしょうか。

「ベネフィット」とは、お客様にとっての価値のことです。

でも、この「ベネフィット」(お客様にとっての価値)といってもピンときませんね。
「ベネフィット」(お客様にとっての価値)には、2つの側面があるからなのです。1つは、ファンクショナル(機能的)・ベネフィットであり、もう1つは、エモーショナル(情緒的)・ベネフィットといわれているものです。さらに、情報発信してそれを知ってもらい、はじめてお客様になってくれるのです。

(1)ファンクショナル(機能的)・ベネフィットとは
1つ目のファンクショナル(機能的)・ベネフィットとは、商品やサービスの基本的な価値とそれに付随する機能といわれるものです。
例をあげると、代表的なものが、以下の3つです。
早い、便利、うまい、といったことです。牛丼の吉野家は、「早い」「安い」「うまい」といわれています。

@早い
スピードが速い、早いことに価値があるのです。
A便利
使いやすい、買いやすい、持ちやすい、見やすい、など、便利なことなどです。
Bうまい
高性能、高機能、高品質、高精度、壊れにくい、味が良い、などです。

今やファンクショナル(機能的)・ベネフィットだけでは、類似品や競合品と明確に差別化できずで、価格競争に陥りやすくなっています。こうした中で、選んでもらうにはどう差別化していくかです。

例えば、以下のような視点から自社商品やサービスを見直してみることです。
@量を増やす
牛丼の特盛が定着したように、量が増えればその量を求めている人に対しての価値は上がります。量を増やすというのも1つです。
Aスピードを上げる
車はスピードが出せるほど高額です。パソコンは起動が速い機種ほど高額です。宅急便・宅配便の超速料金は割増です。このように速いということも価値となり価格へ反映できるのです。スピードを上げるというのも1つです。
B品質を高める
木製家具では、厳選された木材と職人によるハンドメイドによる量産のできないこだわりの家具と、工場量産の家具とでは、材質も異なり品質も異なります。このことによって価値も高まります。価値が高まれば価格も高まります。品質を高めるのも1つの方法です。
C利便性を高める
自動販売機の飲料は、いつでもどこでもすぐ買って飲める利便さが受け入れられて売れているのです。こうした顧客にとっての利便性を高めるよう工夫するのも1つの方法です。

(2)エモーショナル(情緒的)・ベネフィット
2つ目のエモーショナル(情緒的)・ベネフィットとは、以下のようなもの
のことです。
 ・デザインが良い
 ・思い出がある
 ・持っていることで鼻高々になれる、名誉がある
 ・特別扱いされる、優越感が味わえる
 ・それを持つ自分が好き
 ・威厳がある、権力を感じさせる
などといったことです。

こうしたエモーショナル(情緒的)・ベネフィットでお客様に選んでいただければ、価格競争にはなりにくく、ファン、固定客になってくれるのです。
では、どんな差別化が考えられるかです。
@特別扱いする
「あなただけ」ということばが、ビジネスにおいても殺し文句なのです。
「あなただけ」に「特別な」何かをして差し上げます、ということにするのです。
Aデザインを良くする、工夫する
見た目のいいもの、見栄えの良いものは良く見え、高額にできるのです。
カッコよくするのです。
B楽しくする
イベントやお祭りに人が集まるのは楽しいからです。楽しさを演出するのです。
C限定感をアピールする
期間限定や数量限定だって希少価値が生まれます。手にできなくなるような制限でアピールするのです。
Dカスタマイズできるようにする
自分だけのものということは非常に満足感が高まります。私だけのものにできるようカスタマイズできるようにするのです。

以上、2つのベネフィットについて見てきましたが、この両者は別々のものではなく連動しているものなのです。それぞれが単独で存在するのではなく、相互に関連し合って一体的で強力な価値を生み出すのです。

今や、ファンクショナル(機能的)・ベネフィットだけでは、市場で選ばれるのは難しく、エモーショナル(情緒的)・ベネフィットの助けが必要であり、エモーショナル(情緒的)・ベネフィットはそれだけでは存在せず、ファンクショナル(機能的)・ベネフィットがあるからその機能を発揮するものなのです。

(3)こだわりを伝えよう(情報発信する)
@ものづくりに対するこだわりを伝える
お客様のベネフィットに対する取り組み姿勢を伝えるようにするのです。素材選びから製法などについて、こうして選んでいるのですよ、こうして製造工程にまで工夫を凝らしているのですよと。商業の方は、品揃えでこうした工夫を凝らすのです。お客様は、こうしたことを知れば知るほど、類似品や競合品よりも価値を高めます。何にこだわっているか伝えるのです。

A価値が高いことを証明するものを見せる
お客様にとっての価値は目に見えません。具体的にわかってもらえるよう証明書や客観的なデータなどを提示するのです。価値のあること、価値が高いことを見えるようにするのです。

B情報発信する
いくら良いもの、こだわってつくったものでも知ってもらわなければ買ってもらえません。知ってもらう、認知してもらうためにはホームページやメール等も使って広く呼びかけ、アピールすることです。

まとめ

成熟化社会となり商品は競合品や類似品もありあふれています。また、これらの商品求める人の価値観や使用・消費満足感も千差万別です。こうした中でわが社の商品をお客様に選んでいただくには、お客様にとっての使用満足や消費満足=ベネフィット(便益)を得ていいただかなくてはなりません。

そのためには、提供する側にそれなりの思い入れやこだわりが欠かせないし、またそれを伝えていかなくてはならないのという時代になってきているのです。こうした視点から見直しをしてみましょう。

わかりやすく図解もしてみました。理解を深めて応用ご活用ください。


中小企業診断士  渡邉 勲 

メールはwatanabe-bsl@nifty.comまで願います。

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