特定非営利法人東京都港区中小企業経営支援協会NPOみなと経営支援


●2010年 5月「気象情報をビジネスに活かす方法」

●2010年 5月「気象情報をビジネスに活かす方法」

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2010年 5月 「気象情報をビジネスに活かす方法」

中小企業診断士  気象予報士  中峰 博史

メールはhiroshi.nakamine@trad.ocn.ne.jpまで願います。


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1.はじめに

季節や気候の変化が、ビジネスに大きく影響することはみなさんご存知の通りです。実際、自然災害にとどまらず、天候不順、急な天気の変化は、商品の売れ行き、来客数、イベントの運営など、さまざまな場面に影響します。また、季節病、気候病など健康への影響も、円滑な企業運営にとって大きな問題になります。昨年の新型インフルエンザの流行は、気象も大きく関係した事件でした。
そこで、気象情報の、ビジネスへの上手な活用方法についてご紹介します。

2.売上を増やす

季節や気候の変化は、体調を変化させ、食欲や嗜好に影響を与えます。そのため、食品関連の業界では、以前から気象情報の活用が進んでいます。

例えば、居酒屋では、季節や気候に合わせたメニューの変更、荒天(雨の日)用の特別サービス、天気による来店数を想定した接客員配置や仕入れの見直しなど、きめ細かい対応が、店の収益を大きく左右します。

スーパーやコンビニが、気候の変化と嗜好の変化の関係を科学的な数値データとしてとらえ、お弁当や総菜などの品揃えに活かすことを、他に先駆けて始めたことは特に有名です。

急な雨などがあると、タクシーの需要が急増し、傘やストッキングなどが売れるなど、思いがけないビジネスチャンスが生まれます。素早い対応には、タイムリーな気象情報の入手が必要ですが、最近はインターネットから、ビジュアルで分かりやすい情報を容易に入手できるようになりました。

衣料やエアコンのような季節商品には、長期の気象予報が必要になります。
残念ながら、現在の長期予報は、ビジネスにそのまま利用できるほどの精度がありません。毎日の気象情報に注意し、変化を見逃さない感度を養うとともに、商品の製造から小売りまでの時間(商品調達のリードタイム)を短くするなどの事前の準備により、他との差別化を創り出すことができます。

このように、気象情報の活用は、さまざまな業界で試行錯誤しながら、着実に進歩しています。

3.リスクを減らす

雨、風、雪、雷など荒天によるビジネスリスクには、交通機関、電力などインフラの障害、農業、漁業への影響(災害、不作、不良)、健康被害、スポーツ、イベント、屋外作業の妨げ、季節商品の需要低迷、など多くあります。

最近の異常気象は、都市計画時の想定を上回るものもあり、地下の浸水、高潮による洪水など、大きな災害が心配されるようになってきました。また、急な集中豪雨、竜巻など、現在の気象予報や警報では、精度が十分でなく、時間も間に合わないケースが増えています。

気象情報は、単に雨か晴れか、警報や注意報が出ているかどうかだけでなく、その内容についても関心を持ち、注意することが重要です。

今年(平成22年)の春は気候の不順で、農作物(生鮮食品)の発育に大きな影響を与えました。需給のバランスが崩れ価格にも大きく影響しました。近年の天候不順の増加に対し、農業やその流通の対策はまだまだ遅れているようです。

気象や気候の変化による需要の低迷などに対し、天候デリバティブによるリスク回避(低減)があります。一定の気象条件(気温、湿度、降雨量、降雪量など)を設定し、その値を上回れば(下回れば)補償額が支払われるものです。

例えば、決められた期間の降水量が基準を超えた場合のレジャー施設、気温が基準を下まわった場合のビアレストラン、気温の変化による電気、ガス供給会社など、さまざまな業種に広がっています。正月の三が日の天気で契約している神社もあるようです。

気候と健康との関係については、最近研究も進み、関心が高くなってきたようです。従業員の健康管理は、企業にとって重要な課題です。関節痛、神経痛、心筋梗塞、アレルギー、気管支喘息、偏頭痛、熱中症、インフルエンザなど季節や気候に関係して発生する病気は少なくありません。最近は、これまで日本に存在しなかった昆虫や細菌、ウィルスが問題になってきています。働く環境を整え、従業員の健康管理は、経営者にとって、最重要課題です。

4.さらに上手に気象情報を利用する

気象予報は一般に、晴れか雨のように、デジタル情報としてそのまま利用している方が多いようです。しかし、気象状況をアナログ的にとらえて、さらに幅広く利用することはできないでしょうか。

最近のテレビの気象番組では、気象キャスターが、気象状況を丁寧で分かりやすく説明していますし、インターネットを使えば、衛星やレーダーの情報、実況や予想の天気図がいつでも見られるようになっているのですが(最初は、解説も豊富な気象庁のホームページが、分かりやすいと思います)。

気象予報の種類には、降水短時間予報(6時間)、天気予報(6時間から2日先)、週間予報、季節予報(1か月予報、3か月予報、暖寒候期予報)などがあります。降水短時間予報では1時間毎、天気予報では、3時間毎の予報を見ることができます。
意外と知られていないのですが、週間予報では、信頼度がA,B,Cで表示されています。信頼度の高い日、そうでない日を知ることで活用の範囲を広げることができるはずです。

また、アメダス(全国の観測情報)からは、降水、風、温度、風、日照の状況を、地図形式で時系列に見ることができます。気象の時間変化を、ビジュアルに見ることができます。

少し専門的になりますが、風がぶつかり合っているところ、また、温度差が激しいところは、雷雨など荒れた天気になる可能性もあります(その範囲が小さい場合、天気予報への反映が難しいことがあります)。

気象レーダーによる降水ナウキャストは、降水(実況は5分毎、6時間先までの予報は10分毎の)の状況を動画で見ることができ、これから雨が降るか、現在の雨は降り続くのかなどを、専門知識なしに容易に知ることができます。

衛星画像から気象予報を行うのは、専門的な知識が必要になりますが、雲の動きや大気の状態(水蒸気の状態)を動画で見ることが出来ます。赤外線画像では、高度の高い雲は白く表示されることから、雲の発達の状況を知ることができ、水蒸気画像からは上空の湿り度が分かります(大雨になるかどうか)。また、低気圧は左巻き、高気圧は右巻であることを知っていれば、低気圧や高気圧の位置を知ることもできます。

余談ですが、自然現象の雄大さも実感することもできます。昨年(21年夏)の皆既日食は、衛星画像から見ることができ、宇宙のショーを自宅で楽しむことができました。

私たちのビジネスに使える気象情報は、少し練習すれば、意外と容易にビジネスに活かせるようになります

気象予報士資格の制度ができて大分経ち、気象予報士の数も増えました。近くの気象予報士を上手に利用するのも、気象情報をビジネスに役立てる近道かもしれません。

5月27日から、気象庁の出す気象予報の内容が一部変わりました。警報の単位が、市町村単位と細かくなります。竜巻や雷の予報も詳しくなります。これを機会に、気象予報をビジネスに活かすことを考えてみてはいかがでしょうか。

中小企業診断士  気象予報士  中峰博史

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■――――――――――――-―― NPOみなと経営支援協会−201005―■


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