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●2010年2月「バランススコアカード活用のすすめ」

●2010年2月「バランススコアカード活用のすすめ」

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「バランススコアカード活用のすすめ」

中小企業診断士 栗田 剛志
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1.なぜバランススコアカードが必要か

 巷では、成果主義が機能しなくなったとよく耳にします。バブル崩壊による収益悪化に伴う人件費削減策として、また、従来の年功序列型報酬制度に対する不満から、多くの企業で導入がすすめられた成果主義と成果連動型報酬制度は、企業・社員とって魅力がなくなってしまったようです。

その理由は、価値観が多様化する中で、仕事に対する動機付けのあり方が大きく変化しているからであると言えます。社員の動機付けられる要素が、外部から与えられる要素(給与や命令、義務、賞罰、昇給・昇進などの自発性の低い要素)から内部から発する要素(好奇心、関心、成長意欲、精神的な満足感といった自発的な要素)へと変化してきているのです。

成果主義は、外部から与えられる要素が強く、内部から発する要素に対しての訴求力が弱いため、動機付けとしての魅力が薄れてしまいました。今、企業はより競争力の高い組織を構築するために、業績評価のあり方の見直しを迫られています。

成果主義に対する不満として、
@短期的な結果を求められて、自分の行っている仕事が会社の成長戦略とどう結びついているのか、どんな貢献をすることができるのかがわからない
A結果指標、目標の数値だけが提示されて、そこへ至るまでの道のりがわからない
B戦略や目標が、結果の出る期末まで見直されることがなく、大きな環境の変化が起こっても、活動の修正が行われない
といったことが挙げられます。

要するに、今、求められている業績評価方法とは
@内部から発する動機付けに対して対応できる制度
A先行指標を盛り込んだ、プロセスに焦点が当てられた目標設定
B活動を定期的にモニタリングし、環境の変化に対応できる仕組み
が盛り込まれた制度であると言えます。

これらの要求を満たすものがバランススコアカード(以下BSCと記す)です。策定した戦略を下位部門に展開し、数値的な目標設定とそれに対するパフォーマンス評価の実践をバランスよく行うことができます。

2.バランススコアカードの3つの特徴

 BSCとは、利益額など「財務の視点」に、「顧客の視点」、「業務の流れの視点」、「人・組織の視点」という非財務的な要素を加えた4つの視点から戦略を実行していくというコンセプトの業績管理手法です。

作成手順としては、企業・組織が持つビジョンを実現するための戦略目標を明確化するとともに、その戦略を数値化した「財務の視点」で目標を設定していきます。さらに、それを「顧客の視点」、「業務の流れの視点」、「人・組織の視点」において、目標実現に向けての因果関係を考慮しながら何をすべきかを策定します。これらを図式化したものを「戦略マップ」と呼び、それぞれの視点における重要成功要因のつながりと、目標達成のためのストーリーを明確にしていきます。

短期的な結果のみにとらわれることなく、戦略を実行する上で必要なプロセスをストーリーに落とし込むことで、社員の自発的な活動を促すことができるのです。

BSCの大きな特徴として以下の3つを挙げます。
@BSCはストーリーである
 目標を達成するために、何をすればいいかという先行指標を評価の対象とするため、数値目標の達成度合いが自分の成長を示すバロメーターとなります。ゴールへの道筋をストーリーとして描くことで、結果だけでなく、そのプロセスもやりきろうという姿勢が生まれ、その場限りの仕事になることがありません

ABSCは地図である
戦略における目的地(ゴール)と現在地を明確にし、どこをどう通ってゴールまで辿り着けばいいかが一目でわかります。4つの視点を網羅することで、ヌケ・モレ・ダブリのない戦略を実行することができ、社員が日ごろ行っている活動について、何のために行っているかを理解させることができ、戦略の浸透度を高められます。

BBSCはチェックリストである
短期間で目標に対する進捗度合いをレビューしていくので、目標が立てっぱなしになるようなことがありません。基準値と現在の数値のギャップを把握し、次のうち手を考えることで、環境の変化に素早く対応でき、戦略も臨機応変に見直すことができます。

3.やらされ感からの脱却

目標達成における、最大の阻害要因は、各人が抱く「やらされ感」です。成果主義が崩壊した主原因であり、自発的な活動を行う意欲の減退は、組織全体の活気をも奪ってしまます。この「やらされ感」をなくすには、各人が会社の戦略を理解し、自ら目標とそれを達成する道筋をたて、日々活動していく必要があります。

立てた目標が予定通り遂行できているかどうかを、戦略マップとスコアカードで逐次モニタリングしていくことで、達成に対する意識付けと、各人の成長度合いを認識することができます。

立てた戦略がどんなに立派なものでも、現場が実行していなければ、ただの絵にかいた餅でしかありません。戦略が完遂されないのは、戦略自体に問題があるのではなく、実行段階での失敗か、遂行が中途半端に終わってしまうからなのです。

戦略を実行に落とし込めるかどうかは、どれだけ社員が自発的に働けるかにかかっています。「やらされ感」から脱却するためには、内的な動機付けである、自分の仕事の貢献度や、自分自身の成長度合いを実感できる仕事内容、それに対する評価の提供にほかありません。

バランススコアカードの活用によって、戦略実行の質とマネジメントの質の両方を高めて、個人と組織の力を向上させることができるのです。

中小企業診断士 栗田 剛志
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