特定非営利法人東京都港区中小企業経営支援協会NPOみなと経営支援


●2009年7月中小企業白書2009  人材の確保と育成

●2009年7月中小企業白書2009  人材の確保と育成

■経営お役立ち情報  ビジネスヒント情報―――――――――――■

中小企業白書(2009年版)より
「〜経営者と従業員が一丸となって厳しい環境を乗り越えるために〜」

中小企業診断士 松崎 邦彦 

■―――――――――――――――――NPOみなと経営支援協会■

中小企業が「最も重要と考える経営資源は」との質問に、「人材」と回答した企業が48%と最多で、2位の「技術」25%の約2倍となっています。
宝である人材を大切に育成しているでしょうか。「雇ってやっている」とぞんざいに扱っていないでしょうか?

長く働いてもらう事で、より重要な戦力になっていきます。
中には「若い者はすぐに辞めてしまう」と思っている上司、経営者も多いでしょう。確かに昔よりは長続きしない傾向にあるようですが、一方で、このような調査結果も出ています。

【直近10年間で正社員として採用した新入社員が現在も働いている割合】
20人以下の企業では「1割程度しか残っていない」と答えた企業は32%、一方「9割が」残っている」と答えた企業は、何と26%もありました。

規模が大きくなる程「1割」と回答した企業は減少していますが、実は「9割」と回答した企業も低くなっています。

この統計からは規模の小さな企業ほど、離職率の高い企業と低い企業の2極分化していると見る事ができます。もし、御社の離職率が高いようであるなら、従業員への対応を見直してみる必要がありそうです。

では、どのようにしたら従業員が戦力化していくのでしょうか。
人材の効果を確保していく観点からは、従業員の「仕事へのやりがい」を高める事が重要です。

大企業と比べてもやりがいを感じている正社員の比率は遜色がありません。しかも、「10年前と比べてやりがいが大きくなった」と感じている比率は、中小企業で40%と大企業の25%を越えています。

やりがいの源泉としては、「賃金水準」との回答が1位となっているものの、「仕事をやり遂げた時の達成感」や「やった仕事に対する評価」が次に来ています。

大企業では、組織がしっかりしている反面、役割が細分化しているため、担当を越えた仕事ができない事が多く、中小企業では役割分担を越えて1つの仕事をやり遂げられるため、やりがいが大きくなっているのではないでしょうか。

創業社長でばりばりと仕事をこなす社長は、自ら仕事をこなすあまり、社員に権限を与えなかったり、いつまでも社員を半人前扱いして評価しない、所謂「ワンマン社長」も多くいらっしゃるようです。

そうすると人材は育ちませんし、やりがいもあまり感じられないため戦力化になる前に離職していまい、結果社長が一人で頑張らなければならない状況を自ら作っているという循環に陥ります。それでは企業の成長にも限界があります。

方針はしっかりと押さえつつも、細かなやり方は担当に任せ、ご自身のやり方と違っていても成果を評価することで、従業員が育ち戦力化していきます。

女性も重要な戦力です。

昭和の時代には、女性は「腰掛け」的な見方をされていました。
確かに昭和54年には20才前後の労働力が20代後半では結婚退職等で3割以上も減少していました。

しかし近年では、晩婚化も伴い20代後半では減少せず、30代を通して1割程減少するに留まります。そして40代に入って労働力が戻っている状況です。(総務省「労働力調査」)

このことは、女性も長い期間働く様になっており、事務等の作業でも高度な専門技術が求められることから、(企業側が腰掛け的な扱いをしなければ)いなくてはならない重要な戦力化になっていくことを表しています。

更に差別的扱いが禁止されたことから、今までは男性の仕事と考えられていた業務にも、女性の姿が見られるようになってきました。

有能な女性を出産・育児に伴う退職を防ぐためには、女性が子供を育てながら働くための取り組みが必要です。

育児休暇や子供の送迎のための遅刻/早退の許可、勤務時間の短縮などが望まれています。

雇用保険では育児休業の間や育児休業者職場復帰した時の給付金が出ます。また、育児休業期間中の健康保険料は事業主の負担分も徴収されないなど、多くの制度も用意されています。それを上手く活用すると良いでしょう。

働きやすい環境であれば優秀な女性も集まりやすく、長く勤めるため戦力化に繋がっていきます。

中小企業白書では「中小企業は、経営者と従業員のコミュニケーションを高め、従業員の意欲や能力の取り組み、経営者と従業員が一丸となって厳しい環境を乗り越え、いっそうの発展を遂げていく事が期待されている。」とまとめています。

詳しくは中小企業庁のホームページに公表されていますので、ご覧下さい。
■中小企業庁のホームページへリンク



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