特定非営利法人東京都港区中小企業経営支援協会NPOみなと経営支援


●2009年7月経営者・管理者の決断力向上の極意

●2009年7月経営者・管理者の決断力向上の極意

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経営者・管理者の決断力向上の極意
「〜人を管理する立場に求められるのは 迅速で的確な判断です〜」

中小企業診断士 栗田剛志 

■―――――――――――――――――NPOみなと経営支援協会■

リーダーやマネージャーといった人を管理する立場にある人は、迅速で的確な意思決定というものを常に求められます。環境の変化が激しい昨今、ちょっとした判断の遅れや誤りが致命傷となることも少なくはありません。

そのような立場にあるビジネスマンの間で「論理的思考力」というものが注目されています。「ロジカルシンキング」や「クリティカルシンキング」といった言葉で表わされることが多いのですが、書店では一つのコーナーが設けられているくらい話題となっています。

どうしたら思考停止に陥らずスピーディーに解決策を見つけられるか。どうしたら自分の言いたいことを的確な言葉で相手に伝えられるか。

多くの人が、その答えを「論理的思考力」に求めています。
論理的に考えることによって、結論までより早くたどりつき、正しい判断へ導くことができると考えられているからです。

以下に、決断力向上の極意として、論理的思考力を身につけることを提言したいと思います。身につけるための簡単な方法を紹介しますので、是非とも取り組んでみてください。
(今回は少し長いですが最後までお読みください)

●1.論理的思考力とは?
「論理的思考力」を簡単に言うと、「問題に対する答えと、その答えを導いた理由に筋道をつけて、わかりやすくすること」です。

今まで、決断する際の判断基準を、K・K・D(勘と経験と度胸)で行い、結果としてうまくいっていたということが多いのではないでしょうか。確かに、K・K・Dを使えば、迅速であることには違いありません。しかし、果たしてそれが的確であるかというと疑問に思えます。なぜうまくいったのかを検証することができませんし、さらに悪いのは、うまくいかなかった場合の理由がわからないことです。

個人で完結する問題への判断であれば、K・K・Dによる「えいやっ」でいいのですが、組織や顧客といった第三者が関係する問題には、判断(答え)を導き出した理由をきちんと説明できないと説得力に欠けてしまします。伝えるべき内容が、誰に対しても合理的で、きちんと話がつながっていなければ、納得してもらうことはできないからです。

このように、判断力やそれを説明する力というのは、ビジネスの世界では基礎的なスキルであるにも関わらず、ほとんどの人が体系的に学習する機会を得ていません。

一般に売られている論理的思考力の本を読めば、一応は内容を理解することはできます。しかし、一度読んだだけでは、それを身につけ、実際に日常で活用するまでには、なかなか至らないのが現実です。本当の意味で論理的思考力を身につけるためには、日々の訓練が必要となります。

これは、自転車に乗ることと一緒です。理屈を理解しただけでは乗れるようにはなりません。自分でペダルを漕いでみて初めて乗れるようになります。一度身につければ、ずっと乗り続けられますが、乗りこなせるようになるまでは、一定の訓練が必要となります。同じように、論理的思考力も再現性と応用を利かせるためには、継続的な訓練をする必要があります。

●2.論理的思考力の必要性   
では、なぜ論理的思考力を身につけるが必要があるのかをもう少し考えてみましょう。

@問題の根っこを解決する
インターネットの発達に伴い、情報は、入手が簡単になり、誰もが持っていることが当たり前となりました。その影響により、自分の頭で深く考えることをせず、簡単に答えとしてしまう人を多く見かけます。スピードを重視するのであればそれも一つの方法かもしれません。

しかし、それが本当に問題の解決策になるのかを考えるとそうではない場合が多々あるようです。
例えば、「ネットで検索した内容をそのまま答えとして、思考を停止させてしまう」、「他社の事例をみて、そっくりそのまま安易に導入する」といったことが見受けられます。その結果、「やってみたはいいが、実は自社には適切な方法ではなかった」、あるいは、「考えが浅いため根本的な解決にまで至らず、時間がたてば同じ問題が再び起こる」といったことになりがちです。

決断力を向上させるには、たくさんの情報の中から、自分なりの判断基準で解釈して、答えを導きだすことが求められます。そのためには、自分の頭で考え抜く必要があります。つまり、物事の本質をとらえるためには、問題に対して論理的に、かつ徹底的に考える力の向上と習慣化が必要となります。

一見、遠回りのように思えますが、同じような問題に再び手を焼くことを考えたら、もっとも効率的な方法であると言えます。決断が評価されるのは、問題が本当の意味で解決に至ったかどうかです。的確な判断というものは、論理的に考えることで達成することができるのです。

A多くの人を納得させる
もう一つ、論理的思考力が注目を集めている理由があります。
その理由は、立場や価値観の違う人たちを納得させる決断をするには論理的に考える力が必要とされているからです。

以前にもまして組織は複雑になっており、交渉先を説得することも難しくなっています。世代が違えば価値観も変わってきます。育った文化的背景やその時にいる立場によってもそれぞれの判断基準は違ったものとなります。そのような状況の中で意見を取りまとめ、判断を下さなければならないのが管理者です。

下した判断も、現場レベルで実行されなければ、意味がありません。理解してもらえない、あるいは、うまく伝えられない原因は、答え自体を支える理由が明確になっていなっからです。論理的に考えることによって、答えと理由を筋道立てて説明することができるので、誰もが納得できる結論となり、実行性も高まります。

●3.三つの習得方法
それでは、論理的思考力を身につけるための具体的な3つの方法を紹介します。

@「なぜ」を5回繰り返す
これは、問題の根っこに働きかけるための訓練です。例えば、新聞に「カルテルの摘発があった」という記事があったとしましょう。
ここから5回の「なぜ」に対して答えを考えていきます。

(なぜカルテルはなくならないのか)→「罪の意識が薄いから」
(なぜ罪の意識が薄いのか)→「業界全体で行っていることだから」
(なぜ業界全体で行っているのか)→「自分達や、業界内だけがよけれ
ばいいと考えているから」
(なぜ自分達や、業界内だけがよければいいと考えているのか)→「消費者への意識が薄いから」
(なぜ消費者への意識が薄いのか)→「痛手を被るのは一時的なものだから」
となります。

従って、表面的に取り締まりを強化しても、時間がたてば元に戻ってしまうことになりかねません。それよりも、「市場自体がことの善しあしを見極める力をつけること」が必要です。つまり、消費者に不利益をもたらす行為をした企業に対して市場からの退場を促すような力を強化するといった根っこへの働きかけをしなければ本当の問題は解決しないことがわかります。

A結論から考える
結論への筋道をわかりやすくするとともに、効率的に答えを出す訓練です。入手できた情報が限られていても、必ず「仮説」という仮の結論を立てる習慣をつけます。仮説を立てて、それに沿った情報を収集すれば、やみくもに情報を集めるよりも、本当に必要な情報の量は少なくて済み、質も圧倒的に向上します。

例えば、迷路を思い浮かべてください。スタートから始めて、複数の分かれ道から一つを選んで進んでいくと、行き詰っては分かれ道までもどり、また別の道に進むことを繰り返すこととなります。それとは逆に、ゴールからスタートに向かって道を辿るのとでは明らかに難易度が異なることがわかります。つまり、結論から考えることで早くわかりやすく答えをだすことができるのです。
 
迅速な意思決定には欠かせない訓練です。答えと根拠の結びつきが明確にできるので、説得力も高めることもできます。

B文章、事象を図式化する
頭と同時に手を動かすことで、「見える化」を行い、全体を俯瞰する訓練です。直面する課題と自分の考えを図に落とすことで、部分と部分のつながりや因果関係を把握することができます。問題に対する視野が広くなり、偏った判断に陥ることを避けることができます。

同時に、伝えたい相手と目に見えるものを共有することができるので、コミュニケーション量は圧倒的に増え、かつ速く、正確に伝えることができるようになります。

決断したことは外部に伝え、理解してもらわなくてはなりません。この部分でも論理的思考力はとても役に立ちます。

「論理的」になることは、理屈っぽくなることではありません。決断力を高めて、行動の質とスピードを変えていくものであると考えます。

論理的思考力を習熟するには、日々の地道な訓練が必要となります。仕事の中はもちろんのこと、新聞からのニュースや、取引先とのやりとりの中で、実践して身につけていってほしいと思います。
                                          以上

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