特定非営利法人東京都港区中小企業経営支援協会NPOみなと経営支援


●2009年6月:消費者の購買行動の変化

●2009年6月:消費者の購買行動の変化

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「消費者の購買行動の変化」
中小企業診断士 中津留 準  

■―――――――――――――――――NPOみなと経営支援協会■

最近の経済環境の変化としては、一方で平成17年後半より上昇傾向が続き、20年秋にピークとなった原油価格の高騰と、それに伴う食料品を初めとした原材料の高騰問題があります。また一方では平成19年にアメリカで発生したサブプライムローン問題に端を発した世界同時不況があり、さらに20年9月のリーマン・ブラザーズの経営破綻を機に「百年年に一度の不況」と呼ばれる大変厳しい状況となりました。

この影響で多くの企業が厳しい経営を余儀なくされていますが、消費者の購買行動へはどのような影響があったのでしょうか。この不況の影響を受けて職を失った人や、収入が大幅に減少した人は当然消費が減りますが、ここでは当面の収入に大きな変動がない消費者についての考察をいたします。

消費者の購買行動に影響を与える要素は前記の経済環境の変化だけでなく、「中国製餃子問題」などの影響を受けた「食の安全」に対する関心、環境問題への関心、少子化、高齢化、国・地方自治体の規制や規制緩和、インターネットの影響などもあります。

全体的な流れとして、日経などで紹介される各種小売業の販売現場からの情報や、企業の販売戦略の方向から見て、消費者の価格志向が強くなっているのが分かります。半面、食品を例にとると、平成20年9月の国の世論調査結果では国産品志向が89%であり、3年前に比べて7%増えていることから品質志向も高まっていることが分かり、品質と価格の両方の欲求が強まっていると考えられます。

また、タバコ自販機に必要なタスポカードを作らずに、夜間はコンビニで買う例のように、より安易に買える方法を求める傾向もあります。それと、商品の当たり外れのリスクを回避したいという傾向も強まり、「試しに買ってみよう」という買い方が減っているため、新製品の販売にはこのリスクを感じさせない演出が必要となりました。一方、同じ消費者が特定の商品・サービスにだけは「こだわり」を持つ例も多く、その場合は一般的な購買行動とまったく異なる判断基準となります。

以上のような購買行動をとる消費者に対応するには、一般市場であれば、先ず価格競争力を持つことが重要ですし、加えて「売り方」に創意工夫をして独自性を持つことが必要です。企業規模に関係なく、仕入先・仕入方法、運営方法を見直して創意工夫を盛り込むことにより、これを実現できる可能性はあります。例外的な業種を除き、インターネットの活用も大変重要になります。

消費者の特定の「こだわり」に対応するニッチ市場の事業であれば、一般市場の手法とは異なり、その「こだわりニーズ」の充足に特化した品揃えや売り方が求められます。競合が少ない半面需要も少ないため、広域から集客することが必要です。低コストのプロモーション手法としては、インターネットの活用と効果的な口コミ宣伝の仕組みづくりが考えられます。

以上

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